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2018年4月25日 (水)

藤崎彩織『ふたご』

藤崎彩織『ふたご』
この小説をSEKAI NO OWARIのメンバーである
藤崎彩織が執筆したある種の切実さ、
切迫した感じは、セカオワに関して
ほとんど知らないし、関心もない私にも、
十分に伝わって来た。以下は私の感想と、
物語の簡単な紹介である。
身勝手この上ない月島(主人公の男性)と
「ふたご」のような関係を望むが果たせず、
恋人でも友人でもない特別な関係を
ヒロインは月島と結ぶ。このあらましが
第一部。
第二部は、月島がバンドを結成し、プロデビューが
決まるまで。
全体的に言えることは、主人公のモノローグが
多すぎること。また、主人公が月島に惹かれすぎていて、
自分を犠牲にして尽くし過ぎるところが、読んでいて
何とも辛い気分にさせられてしまう。
モノローグのほとんども、月島との関係性に関する
ものだ。
特徴的なキャラクターは確かに存在はするが、
月島と私(ヒロイン)の二人がまさに「ふたご」の
ごとく圧倒的に前面に出ている。
ただ、ヒロインも十分自覚しているように、
プロデビューは入り口にすぎず、
本当の世界はその後に始まる。
そういう意味で、本作は「思春期の終わり」とも、
「青春の終わり」とも、「モラトリウムの終わり」とも
受け取れるだろう。
私の住んでいる自治体の図書館では、
本書をティーンズ向けと分類していたが、
確かに良きにせよ悪しきにせよ、若さの
ほとばしりを感じる。
バンドのファンではない私は、直木賞候補になった
本作を買う気がどうしても起きなかったので、
図書館で予約をしたら、なんと50人待ち。
それで、今さらながら、順番が回って来たので、
急いで読んだ、というのが正直なところである。
文庫になったら買ってもいいかなとは思う。
ただし、この作品一つだけで直木賞受賞は
やはり難しかったのだろう。
作者は筆力もある多才な方のようなので、
音楽活動のみならず、今後の執筆活動にも
期待したい。

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